院長の婦人科診療コラム5

■院長の婦人科診療コラム月経前症候群(PMS)生理・生理痛

お久しぶりです。

緊急事態宣言が解除され、気付けば自宅近くの目黒川沿いの桜🌸も見頃を迎えようとしています。

昨年に続き今年もコロナ感染の観点から、桜祭りは中止となり、寂しい限りです。

今回は月経困難症、月経前症候群に処方します漢方薬を取り上げますね。

月経困難症、月経前症候群の症状には低用量ピルがよく効きます。ただ、妊娠希望のある方や、低用量ピルが飲めなかったり飲むことに抵抗のある方には、漢方薬を処方することが多々あります。

その代表の薬に、当帰芍薬散(トウキシャクヤクサン)、加味逍遙散(カミショウヨウサン)、桂枝茯苓丸(ケイシブクリョウガン)があります。

当帰芍薬散には水を調整する作用があり、月経前のむくみや頭痛はこの水 が原因だと思われています。一般に冷え症で貧血傾向がある月経異常や月経困難症に使用します。

次に加味逍遙散です。この漢方薬は血の巡りをよくするので、月経痛や月経不順、肩凝りやそれ以外にも冷え症や体の緊張を取り、気持ちを穏やかにする作用もあるため、月経前の精神不安などの症状にも効果があります。

そして、桂枝茯苓丸は血液の流れをよくする漢方です。お血(血の流れがスムーズにいかず、途中で停滞したり途絶えてしまう状態)が原因の下腹部痛、月経痛、のぼせ等の症状によく効きます。

 上記の漢方薬の中には数種類の薬草が入っているので、月経前の様々な症状にピッタリと合うのです。月経前症候群(PMS)だけでなく、更年期障害や神経症等にもお勧めの漢方です。

それ以外にも月経前の吐き気やむくみ、めまいに、五苓散(ゴレイサン)、下腹部の冷えや痛みを伴う月経不順や月経困難症に温経湯(ウンケイトウ)等、実は婦人科は漢方薬をよく処方する科なのです。

当院通院中の更年期症候群の患者さんにも漢方薬は好まれています。

次回はそちらについてお伝えしますね。

院長 牧田千恵