院長の婦人科診療コラム7

■院長の婦人科診療コラムエクエル更年期障害

暑かった夏も終わり、あっという間に9月になってしまいましたね。コロナが落ち着かず、何かと制限の多い生活ですが、体調はいかがでしょうか?まだしばらく残暑が続きそうですので、睡眠と栄養をしっかりとり、元気に過ごしたいですね。

私のクリニックには更年期相談にいらっしゃる患者さんが毎日のようにいらっしゃいます。

症状もホットフラッシュ、めまい、疲れが取れない、眠れない、怒りっぽくてイライラしてしまう、冷えや肩こり等様々です。

これらの症状に合わせて、HRT(ホルモン補充療法)、漢方薬、プラセンタ、サプリメントなどを患者さんに提案し単独、もしくはそれらを併用し、治療しています。

今回はその中の漢方薬を紹介します。

更年期の方によく処方する漢方薬に、

加味逍遙散(かみしょうようさん)、桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)、当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)があります。

加味逍遙散は、血の巡りをよくするので、月経困難症や月経不順、冷え症に効果があります。

また、イライラなどの精神神経症状を落ち着かせ、浮腫を改善し、気持ちを穏やかにする作用もあるので、月経前症候群(PMS)、更年期障害、神経症にも有効です。

入っている生薬も多く、

柴胡(さいこ)や芍薬(しゃくやく)は、精神的ストレスに効き、薄荷(はっか)は、ふさぎ込んでいるようなうつ症状を改善し、茯苓(ぶくりょう)は気持ちを穏やかにし、牡丹皮(ぼたんぴ)や山梔子(さんしし)は怒り、イライラ、興奮を鎮めます。

桂枝茯苓丸は血液の流れをよくするので、下腹部痛、月経痛、のぼせ、痔などに効果があります。

更年期障害の中でも、のぼせが強い場合にお勧めしています。

桂枝(けいし)はシナモンのことで、血(けつ)と気(き)を巡らせる作用があり、茯苓(ぶくりょう)は余分な水分を取り除き、気持ちを穏やかにします。

他に、芍薬・桃仁・牡丹皮という薬草が入ってます。

当帰芍薬散は、産婦人科の三大漢方薬の一つで、血行障害やうっ血などを表す血(けつ)の不足を補い、血液の巡りをよくして、体を温めます。そのため、月経不順、月経異常、月経痛、更年期障害などによく用いられます。

また、産前産後の不調(貧血、疲労倦怠、めまい、むくみ)や、めまい、立ちくらみ、頭重、肩こり、腰痛、足腰の冷え、しもやけ、むくみ、しみ、耳鳴りなど様々な症状の改善にも使われる、あらゆる年代に対応可能な漢方です。

皆さんに漢方薬の良さをお伝えしたいあまり、長々と書いてしまいましたが、気になる漢方がある方、また漢方を試してみたい方は是非ご相談ください。

院長 牧田千恵